弁護士費用保険の支払い基準

このページでは安心して弁護士費用特約をご利用いただくために、弁護士(費用特約)保険の支払基準を記載します。

弁護士費用保険を利用すると、弁護士に支払う費用が保険金で支払われます。自動車保険には特約(オプション加入)に「弁護士費用特約保険(共済)」があります。

代表弁護士
隅田 敏

弁護士法人ポラリスでは、国内すべての弁護士費用特約保険に対応しています。

ご依頼者様に費用負担が生じないよう、保険会社と事前に協議し、明確な委任契約を結ぶようにしています。

しかし、弁護士委任契約はあくまでご依頼者様ご本人と弁護士の間で結ばれるものです。そのため、報酬内容をよく理解しないまま契約するのは避けましょう。また、状況によっては保険金限度額を超え、自己負担が生じる可能性もあります。

  • 保険金(弁護士費用)の支払い基準について、詳しく説明します。
  • 報酬が300万円を超える可能性がある場合(経済的利益が3000万円を超えるケースなど)を想定し、弁護士保険の支払基準について詳しく説明します。

代表弁護士
隅田 敏

ここでご紹介する内容は、あくまでも弁護士保険の一般的な支払基準です。

全ての弁護士費用の支払に適用されるわけではありませんのでご注意ください。

[/toc]

弁護士費用の支払基準(LAC基準

弁護士費用保険の支払基準は各社の約款上に定めがあります。そして、そのほとんどがLAC基準(LAC=日弁連リーガル・アクセス・センター)と呼ばれるものに準拠しています。

代表弁護士
隅田 敏

LAC基準は、基本的に2004年に廃止された日弁連の旧報酬基準規程を踏襲した内容です。

一部、(タイムチャージが「一万円以上/時間」から「二万円/時間」と変更)異なる部分もありますが、LAC基準と日弁連旧報酬基準は、ほぼ同じと考えて差し障りないと思います。

そこで、次からはこのLAC基準をもとに説明します。

(弁護士報酬の種類)

 弁護士報酬は、法律相談料、着手金、報酬金、時間制報酬、手数料及び日当に分けられ別途事務手数料や実費等が発生します。

着手金・報酬金方式を採用した場合には、原則として、時間制報酬方式、手数料方式は 同一の事故で併用することができません。

代表弁護士
隅田 敏

弁護士の報酬は全部で6種類あります。

  1. 法律相談
  2. 着手金
  3. 報酬金
  4. 時間制報酬
  5. 手数料
  6. 日当

それぞれに、細かな規程があり、特に抑えたいのはこの3点です。

1、受任後には発生しないもの

2、併用できないもの

3、条件付きで併用できるもの

(1) 法律相談料

法律相談とは、依頼者に対して事件受任以前に行う法律相談(口頭による鑑定、 電話による相談を含む。)の対価をいい受任後は発生しません。

(2) 着手金・報酬金方式 

・着手金

着手金とは、その結果のいかんにかかわらず受任時に生じる委任事務処理の対価の事です。

代表弁護士
隅田 敏

弁護士法人ポラリスでは、着手金を適切な額に設定するため、着手金の計算を報酬金の計算と同時に行うことがあります。

事件終了時に確定した経済的利益の額から着手金を計算することにより、適切な着手金となるよう心掛けています。

・報酬金

報酬金とはその成功の程度に応じて受ける委任事務処理の対価の事です。

(3) 時間制報酬(タイムチャージ)方式 

タイムチャージとは、時間制報酬 1時間当たりの委任事務処理単価にその処理に要した時間(移 動に要する時間を含む。)を乗じた額により計算される弁護士 報酬をいいます。 注:時間制報酬方式を採用した場合には、着手金・報酬金方式、手数料方式を同一の事故で併用はできません。

ただし、例外として5「3.」及 び「4.」の手数料方式は、時間制報酬方式での受任の前段階として行う場合には、それぞれ併用することができます。

なお、時間制報酬方式と日当は併用できません。

また、事件受任後の法律相談料は別途発生しません。

(4) 手数料方式

手数料とは、原則として1回程度の手続又は委任事務処理で終了する事件 等についての委任事務処理の対価をいいいます。 注:事件受任後は、法律相談料は発生しません。

(5) 日当

日当とは、弁護士が委任事務処理のために事務所所在地を離れ、移動によってその事件等のために拘束されること(委任事務処理自体による拘束を除く。)の対価の事をです。

弁護士保険

弁護士保険の支払額の計算は、以下の基準により受任弁護士が受けることができる金額を尊重してなされるものとされています。

代表弁護士
隅田 敏

弁護士費用特約保険から支払われる弁護士費用は「保険金」です。

この保険金の支払に、差し障りのない報酬の計算方法がLAC基準です。保険約款では、弁護士費用保険を「保険金として支払える上限金」などと記載されています。

1.法律相談料 

法律相談料は、1時間当たり1万円とし、超過15分ごとに2,500円の法律相談料を請求することができます。*事件受任後は、法律相談料は別途生じません。

出張相談について

 (1) 出張相談の実施 法律相談は、相談担当弁護士の事務所又は所属弁護士会の施設内で実施するこ とを原則とするが、相談者が障害・疾病・高齢等の原因で移動困難な場合で緊急性がある等、特に出張相談を実施すべき事情があると認められる場合に、出張相談を実施することができるとされています。

(2) 出張法律相談料 ① 出張相談の法律相談料は、法律相談に要する時間が1時間以内のとき、移動 に要する対価(日当)を別に要求しないこととして、3万円とする。 ② 法律相談に要する時間が1時間を超える場合、超過15分ごとに2,500 円の法律相談料を請求することができる。 ③ 移動に要する経費は、上記①②とは別に実費を請求できる。 ④ 相談担当弁護士は、上記基準によらず、通常の法律相談料(1時間以内、1 万円)と共に、第2条7項で規定する日当を請求することもできる。また、所 属弁護士会において別個の取扱いがある場合は、それによることもできるとされています。

 

2.着手金

着手金は、弁護士が事件を引き受ける際に、依頼者から最初に支払われる費用です。
この費用の算出基準は、依頼時に期待できる賠償額を基にしており、既に支払われた金額や、保険会社から提示されている金額は差し引かれます

LAC基準では、弁護士保険に係る事件の受任における着手金は、原則として、弁護士が被保険者から依頼を受け、委任事務を処理すべき事故等について、依頼時の資料により計算される賠償されるべき経済的利益の額(既払金、保険会社からの事前支払提示額及 び簡易な自動車賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)の請求(損害賠償請求権の存否及びその額に争いがない場合の請求をいう。)により支払が予定される 部分は控除する。ただし、控除した既払金及び保険会社からの事前提示額に含まれるもの以外の自賠責保険相当部分は、当該弁護士が自賠責保険に請求したか否かに かかわらず、手数料方式(1)の基準により手数料方式として請求することができる。)を基準として、以下のとおりとなります。

 

経済的利益の額着手金の額
125万円以下の場合10万円 
300万円以下の場合経済的利益の8%
300万円を超え3000万円以下の場合経済的利益の5%+9万円 
3000万円を超え3億円以下の場合経済的利益の3%+69万円
3億円を超える場合経済的利益の2%+369万円
別途、発生時の消費税率が加算されます。

ただし、事件受任時において事件の種類、委任事務処理の難易等の事情により、 上記の金額が不相当であると認められる場合は、疎明資料を示し、受任弁護士と依 頼者が協議の上、上記の着手金を30%の範囲で増額することができます。

代表弁護士
隅田 敏

「経済的利益」とは、弁護士に依頼することで得られる金銭的なメリットのことです。

例えば…

  • 保険会社から提示された示談金が低いと感じた時、弁護士が交渉することで増額できた金額

が経済的利益の額となります。

3. 報酬金

報酬金は、弁護士の仕事によって依頼者が得ることになった経済的な利益に基づいて決まります。この経済的な利益から、すでに支払われたお金や、保険会社からもらえる見込みのお金などを差し引いた額が、報酬金の計算の基礎となります。

LAC基準では、 (1)報酬金は、弁護士の委任事務処理により依頼者が得られることとなった経済的利益の額(既払金、保険会社からの事前支払提示額及び簡易な自賠責保険の請求 により支払が予定される部分は控除する。ただし、既払金及び保険会社からの事前提示額に含まれるもの以外の自賠責保険相当部分は、手数料を既に受領した場 合を除き、当該弁護士が自賠責保険に請求したか否かにかかわらず、別途、手数料方式として請求することができる。)を基準として以下のとおりです。

経済的利益の額報酬金の額
300万円以下の場合経済的利益の16%
300万円を超え3000万円以下の場合 経済的利益の10%+18万円 
3000万円を超え3億円以下の場合 経済的利益の6%+138万円 
3億円を超える場合経済的利益の4%+738万円
別途、発生時の消費税率が加算されます。

 ただし、委任事務の終了時において、委任事務処理の難易等の事情により、上記 の金額が不相当であると認められる場合は、疎明資料を示し、受任弁護士と依頼者が協議の上、上記の報酬金を30%の範囲で増額することができます。

(2) また、同一弁護士が引き続き上訴審を受任したときの報酬金は、特に定めのない限り、最終審の報酬金のみを受けます。

4.時間制報酬(タイムチャージ)

 (1) 弁護士が受任事件を処理する場合の弁護士報酬については、依頼者と協議の上、 時間制報酬の定めをすることができます。

 (2) 時間制報酬については、次のような定めを原則とします。

 (3) 時間制報酬を採用する場合には、原則として、依頼者に対し、毎月1回の割合 により、執務内容・時間について報告を行うものとし、保険会社は依頼者を通じ て報告書の提出を受ける都度、弁護士に支払を行うものとなります。

5.手数料

手数料については、以下の額となります。

  1. 事案簡明な自賠責保険の請求における手数料額は、経済的利益の額が150万 円以下の場合は3万円、150万円を超える場合は経済的利益の額の2%となります。
  2. 証拠保全の手数料は、20万円に前記3で計算された着手金の10%相当額を 加算した額とし、本案事件と併せて受任したときでも本案事件の着手金とは別に発生します。
  3. 法律関係の調査の手数料は、一件につき5万円~10万円となります。
  4. 内容証明郵便作成の手数料は、2万円~5万円となります。

 ただし、例外として「1.」及 び「2.」は着手金・報酬金方式と併用することができ「3.」及び「4.」 は着手金・報酬金方式での受任の前段階として行う場合には、 それぞれ併用することができます。

6. 日当

受任弁護士が委任事務処理に当たり遠方に移動する必要がある場合は、日当を受けることができる。なお、日当に対して給付される保険金の基準額は別に定める「弁護士保険(権利保護保険)制度における日当支払基準」によるものとする。

 

日当について

(日当及び交通費の支払対象)
2 弁護士の事務処理に伴う移動が、日当及び交通費の支払の対象となるのは、次に掲げる場合とする。
(1) 事件処理のために必要又は有益な事務処理に伴う移動であることを弁護士が疎明した場合
(2) 依頼者居住地又は依頼者居住地に隣接する弁護士会に所属する弁護士及び弁護士保険(権利保護保険)の紹介制度により紹介した弁護士が、次に掲げる事務処理をした場合
ア 裁判所又は公的紛争機関の期日への出席
イ 現地調査
(3) 日当及び交通費の支払につき事前に保険会社と合意した場合
(保険金の基準額)
3 日当に対して給付される保険金の基準は、次の各号に掲げる移動による合理的拘束時間(乗継等の待機時間を含む。)の区分に応じ、当該各号に定める額 とする。ただし、委任事務処理が複数日にわたる場合は、各日単位の移動に よる拘束時間に応じて、それぞれ計算して得た額を合算する。
(1) 往復2時間を超え4時間まで 3万円(消費税別途)
(2) 往復4時間を超え7時間まで 5万円(消費税別途)
(3) 往復7時間を超える場合 10万円(消費税別途)

着手金及び報酬金の計算における特則 

1(示談交渉と訴訟等の関係)

 (1) 受任弁護士が、同一の事件に関し、示談交渉から引き続き、調停・仲裁センタ ー等への申立て・訴訟事件を受任するときは、別途着手金を受けることができ、その着手金は、前条によって計算される着手金の4分の1が上限となります。

 (2) 受任弁護士が、同一の事件に関し、調停・仲裁センター等への申立てから訴訟事件を受任するときは、別途着手金を受けることができ、その着手金 は、前条によって計算される着手金の4分の1が上限となります。

 (3) 受任弁護士が、同一の事件に関し、第1審から引き続いて控訴審・上告審を受任する場合には、別途着手金を受けることができ、その着手金は、前条によって計算される着手金の4分の1が上限となります。

 (4) 受任弁護士が、同一の事件に関し、調査事件から引き続き、示談交渉・調停・ 仲裁センター等への申立て又は、訴訟の提起を依頼されたときは、別途着手金を受けることができ、その着手金は、前条によって計算される着手金の 額から調査事件の手数料を差し引いた金額とする。その調査事件について受任弁護士が調査結果に関する意見書等を提出していた場合には、着手金の額から手数料額を差し引きません。

 (5) 受任弁護士が、同一の事件に関し、事件の確定までに、示談交渉、調停及び仲 裁センター、第1審、控訴審、上告審等複数の手続を受任する場合(保全命令申立事件及び民事執行事件を除く。)には、全ての手続を通じての着手金の合計額 は、前条によって算出される着手金の1.5倍を超えることができない。ただし、 通常想定される範囲を超える事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の煩雑さ等を受任弁護士が疎明した場合は、この限りではありません。 

実費等とは、「収入印紙代、郵便切手代、謄写料、交通費、通信費、宿泊費、保証金、供託金及びこれらに準ずるもので、弁護士が委任事務処理を行う上で支払の必要が生じた費用」のことです。

Polaris-CTA

ご質問・ご相談

お早めにお問い合わせください。

※無料です。